今年の桜は開花宣言からなかなか満開にならず、さぞ蕾はもどかしい想いをしただろう。
そんなもどかしさのおかげで、毎年行われるイタリア文化会館でのブックフェアには、お堀沿いに咲く桜見物者でごったがえした道をおよぐように辿りついたのである。
毎年の訪伊から戻るときの一番の荷物は書籍。これを少しでも減らしたいと思う気持ちでこのブックフェアに足を運ぶが(価格も良心的)、それでもむこうで目にする何万冊の一部である。ある程度ターゲットがしぼられてている分野に眼をつける。たとえば絵本、イラスト書、マンガ。今年はイタリアに行くと必ず足しげく通う絵本の「コッライーニ社」の展示もあったが、やはり現地のコッライーニ書店には敵わず。
そこで、今回ゲットしたのはイゴルト著「QUADERNI GIAPPONESI」という分厚い本。この手の重くて大きくて現地からの持ちかえりに一番厄介なのだ。本の山のなかから見つけたこの本。迷わず日本で買うに値する!と入手。
著者のイゴルト氏(1958サルデーニャ生まれ)は70年代後半から気鋭の漫画家として注目を集めはじめ、90年代には「モーニング」(講談社)の連載、坂本龍一「未来派野郎」もインナーイラストも手掛けたと知り、あれか!と納得。この本の内容を見れば、日本の“いい~!ところ”に眼をつけ日本人の私よりいくつも上手をいっていることがわかる。
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また先日ご逝去された「孤独のグルメ」を書いた谷口ジローさんとのコラボや友情も特筆すべき点。2年前にイタリア文化会館で開催された「歩くひとたち」という谷口ジローとイゴルト展も観ておきたかったなあと悔やむところ。
ご逝去にあたり谷口ジローについて、イタリアの La Stampa誌に書かれたイゴルトの記事。日伊の友情というか、深く日本の人情にふみこんだイタリア人のイゴルトを尊敬するととともに、作家同士がくんで仕事や展示をするときは、本当に心を通わせられる人でなければとつくづく思った。読み進めれば進めるほど涙があふれた。
わたしの拙い訳には期待ならず、ありがたいことに交流が深かったヤマザキマリさんのあっぱれな翻訳記事を見つけたので最後にご紹介して本日の記事を〆ようと思う。
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