サカナ売場でアラや肝をじいっと見るのが好き。
アラといえば、煮つけや鍋、おみそしるなどが頭に浮かぶが、このレシピ(スープ作家有賀薫さん/Cakes連載)を見たとき、そうか「アックアパッツァ(伊料理)」か!と膝をたたいた。各種魚介やハーブをふんだんに入れ、サフランも入れたりしてわりと手をかけるのが「ブイヤーベース(仏料理)」だとしたら、水とワインにアラ(もちろん身つきサカナでも良し)をドボンと入れた手荒い料理(言いかえればシンプル時短料理)が、アックアパッツァではないかな。
有賀さんの“包丁を使わない簡単な魚のスープ”をつくりたくなったら、まずはサカナ売場へ「アラをさがしにGO!」コスパバツグンであること間違いなし!
「アックアパッツァ」の「アックア」は水、「パッツァ」は狂うとかバカという意味だが、この料理の「パッツァ」には諸説ある。わたしが好きな説はナポリ漁師の料理説。もともと船上で漁師たちが作って食べる料理で、海水にワインを入れ、そこにサカナをぶっこんだという。つまりは「風変わりな水」からつくる料理という説。この手荒さが好き。
そして、有賀さんのレシピの特長もちょっとそれに近いというか、漁師風あらため家庭風、現代風といったところだろうか。記述の「風変わりな水」もレシピの材料を見ていただければ予想がつくだろう。「アクアパッツァ」のレシピはネットにたくさん登場するが、これをイージー&コスパ良好にする。わたしが冒頭で膝をたたいたのは、この漁師料理くらいある意味シンプルさが似ていたから。
そうそう、今回レシピ上では「鯛のアラ」とあるが、わたしはサカナ売場で「キンメダイのアラ」を買った。4つの目玉で占有されたカマのみ。身はほぼなし。金色の目をした鯛だと思い込んでいた。なんかレシピ写真と色がちがうねえと思い調べたら、なんと鯛は「スズキ」の仲間だが、彼らは「キンメダイ」として独立した家族であった。彼らがギョロッと金色に光る目で言った。「さいごに言わせて!」と。
ベースのレシピを少しアレンジ。鯛はキンメダイに代わったし、腹ペコ青年の家庭はボリュームアップを狙いジャガイモの角切りとサバの水煮缶を加えた。おしゃれなハーブの代わりに、あまって捨てがちなネギの硬くて青い部分をザクザク入れ、庭で大事に育てているスープセロリを1本だけ飾った。
む~ん。出汁がおいしくて思わず目をつむるほど。目玉は硬い!とさすがに降参したものの目玉のまわりがトロンとおいしいと白いビー玉をしゃぶる青年。玄米をスープに入れて食べたらさらに絶品。あまることなく平らげたが、もし余れば雑炊風(おしゃれにいえばリゾット)にすると美味まちがいなし!我が家は、4つの目玉とわずかな骨が残っただけ。キンメダイ家族さま命をすみずみまでありがとう。
「地球のかけら」を意する工房Cocciorinoは
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