いよいよ本格的な夏がカラダにまとわりついてきた。
暑かったけれど爽やかだった理想の夏は遠ざかり、そうだったこれだったと、ダラけた声でボヤく季節。蝉の声がまだしない。いやいやまだこれからだよと暗示している。
陶芸家にとって、いや暑さに危機をおぼえるご職業に就いていらっしゃるかたは大勢いる。水分をたくさんとり、睡眠不足を極力減らしていきたいものだが、やれやれそうにもいかないわけで。
次回展示を行う新宿高島屋10階「ギャラリー暮らしの工芸」に顔を出してきた。
開催中の展覧会は「関根昭太郎 色絵磁器展」。カラフルな絵付けで大胆な作品もあれば、小さな絵付けで魅力をじわり訴える作品もある。磁器という真っ白な素材は、成形および窯の炊き方までなかなかどうして難しい。それをさらりと美しい色で仕上げている作品群。同業者の作品でも、魅力を感じたら、払える範囲を懸命に考えて家に連れて帰る。
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わたしが連れてきた作品は豆皿。成形も焼成もとても丁寧で美しい。絵付けもチカラが抜けた画なのに感心するほど線は丁寧で背筋が伸びる。裏のサインもとても気に入った。豆皿の重量や、深みなど、ちょっとした魅力に気づくのは、見るだけでは得られないこと。実際に使ってみてわかること。
関心した作品を手に取り、自作と並べて気をひきしめる。背筋が伸びるのは確かで、加えて、己の「初心」や「希望」が冷静に戻ってくるか試す。ブーメランのように戻ってくればモチベーションが上がり効果大。戻ってこなければ、もう少し体幹を鍛え直さねばならない。
関根氏の豆皿の絵付けは、食品に負けない。やさしく助長しながら体幹の強さを感じる。奥の方でCocciorinoのミニ土鍋も訴えている。よし、これでよろしいのだ。いただいたおいしいお庭の枇杷を抱えているだけで、よろしいのだ。
五十嵐貴子・我妻珠美 うつわ展
-食を楽しむ-
2017.9.27-10.3
新宿高島屋10階
ギャラリー「暮らしの工芸」にて
1年中ご利用いただいております土鍋からココットなど
各色そろえて展示販売予定です。
これから取材に向かう「旅する土鍋vol.4」
最新報告もできたらいいなと思っております。