まずは下の動画をご覧くだされ。わが家の庭のサツキの木の中に巣をつくられたアシナガバチ。おいしそうな虫肉団子をじょうずにこねて、巣の中の幼虫に、一部屋ずつ分け与えている献身な姿にがんばれ!と言ってしまうだろう。…が、しかし悲劇はいかに。
出発前の貴重な時間。焚いた窯が冷める間をつかって諸々の買い出しに出かけた。我が家は大きなハブステーションから数十分の私鉄沿線上にある。ラッシュで有名な沿線。毎日のように人身事故が発生しているが、これはどういう時代を示唆するのだろうか。電車に缶詰めになりながら、おかしな状況に慣れてしまっている人間たちについて考えながら帰宅した。
夕食の支度を家族で分担し、わたしは夜になっても30℃を切らない庭の植物を心配し、暑さでぐったりした植物に水をあげようと、暗がりのベランダでサンダルを履いた。チクッと、いやビリビリーッと激痛が。大声を上げて飛び上がりサンダルを吹っ飛ばして家の中に入った。気が遠のくような激痛。久しぶりに痛みに泣いた。なぜか瞬間的に「ヒアリ?」と脳裏をよぎったが、すぐにああ洗脳されているニュースにと撤回。
あまりの激痛に少し眠り、腫れがひどくなったので夜間救急病院に行った。1時間半経過したがアレルギー症状などは出ていないので大丈夫。抗ヒスタミン剤とアレルギー剤が処方され、ここ10年以上病院に行っていなかった私の記録は同志アシナガバチの裏切りにより崩された。そして、出発前の1時間でも狂わせることができない仕事プログラムは大幅に狂った。いまだにスーツケース3つの支度は手つかず。出発できるのか。
家族は静かにわたしをたしなめた。「虫たちの命はちょっとかわいそうでやりきれないけど、もうあそこまで育ったのだからいいでしょ彼らの人生におわりがきても」と。
なぜうまく共存できないのか?なぜうまく列車が走らないのか?それは過密な都会の環境が原因なのだろうと思った。でも東京は大好きだ。なぜなら共存しようとする互いのエネルギーで熱いからだ。
(追記)今朝、明るくなってからベランダを見たら、わたしを刺しただろうアシナガバチさん(娘/働き蜂)がスリッパの横でコロンと前足を組んで命を終えていた。