ミラノに到着して、はや2週間。
このあいだに、ギャラリーさまにご納品すべく師匠グイド・デ・ザンの作品をセレクトし梱包をいっしょにした。そのあとは、ご注文いただいた作品の引き渡し。それら大切なことをまず済ませて、そのあと居候している師匠宅から2時間半ほどのリグーリアの海で体を休ませた。
20年前からの伊友人に誘われて、彼女が住むローマにも行ってきた。突然のスケジュールにブログの更新も進まない。明日から本格的な「旅する土鍋プロジェクト」がはじまる前に、一筆執らねば。
渡伊する機会を与えてくださっている人がたくさんいて、噛みしめれば噛みしめるほど嬉しくて涙が出てくる。「旅する土鍋」プロジェクトは自主的に行うもののお招き(勝手に訪問ともいえる)がなければ成立しない。このほか、資金面で隠れたスポンサー的なお客様がいるから来伊できるし、身を寄せ第二の我が家のように迎えてくれる師匠やエアポートまで送迎してくれたり夕食に招いてくれたりする古くからの友がいる。拠点とするミラノはまさしく「第二の故郷」なのだ。目を瞑ればすぐに20年前までの在伊を思い出す。このあいだには、それぞれが色々なことを経験し、遠い「空の旅」に出た者やペットもいる。
滞在の折りに作品をご注文くださるお客様がいることに感謝。それはそれは深く。今回もミラノについて早々にご注文品のいくつかを無事ミラノで完了した。昨年2016年師匠と2人展を行った際にいただいたご注文。「待ちますから来年いらしてください」と言ってくださり、本音をいうと、これがなければ、色々と困難である「旅する土鍋」プロジェクトも諦めていたかもしれない。
写真は、「旅する土鍋」と同じ一番大きなサイズ。去年サイズを間違えて持ってきたので、おわびに彼女の愛犬のイルポをおつくりして蓋につけましょうという話をしたのが去年の9月。1年間おまたせしてようやくご納品。イルポにそっくり!と喜んでいただき、安堵をこえてなんだかとても大切な運命を甘受したかのごとく涙が出てきた。
そして、おまけな話だが、ご納品の日に彼女がしていた指輪を見て驚いた。師匠Guido De Zanの古くからの友人作家Natsuko
Toyofukuさんの作品だったのだ。まさに2日前に彼女の工房を訪ねたばかりだったし、弟子として工房にいたとき、師匠は彼女とコラボ作品をつくったりしていたので、そのフォルムに気づいた。指輪の持ち主、つまり土鍋の所有者さまは、プレゼントでいただいたということで作者不明のまま…しかしながら20年経って判明した作家名。そして小さな世界から時が解かれ出会うということを思い知る。
なんでもあきらめられない。つまりは「あきらめたくない」。「あきらめ/諦」という漢字は、本来「つまびらかにする」「明らかにする」を意味する。わたしの在伊も、プロジェクトも、つまびらかにするまでは諦めない。機会を与えてくれている人がたくさんいるということは、こうやって明らかにして、大切な記憶として残してゆきたい。(写真上「白い土鍋」:今回この土鍋ですてきなランチをいただいた。料理家Keikoさんに感謝。追って記事にしてご紹介したいと思う)
明日から、とうとう「旅する土鍋vol.2」プロジェクトが本格的にスタートする。朝早いイタリア新幹線(Freccia Rossa)に乗ってヴィンチ村に行き、トスカーナ2か所、ボローニャ、そしてマルケ、カラブリアを訪ねる予定。
ちなみに、今回のvol.2として予定している冊子のグラフィックデザインは前回同様に坂元夏樹さん。出発前に打ち合わせをしてある。さて、これからは記事をどんどん書いて彼に送らねば!
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