ミラノの師匠宅を拠点に土鍋と旅しているが、暑さはマックス、時の速さは光陰のごとしマッハ。リグーリア海、ローマ、一度ミラノに戻って荷物の中身を変えて、今度はフィレンツェを軸にヴィンチ、ヴァーリアをまわっている。
日に日に腕には筋肉がつき、足には青あざができ、お腹には良質な脂肪が蓄えられる。そんな旅。100キロの荷物はベースキャンプとさせていただいているミラノの師匠宅に一度置き、大きなタネから小さなタネまで蒔き歩いているのでどんどん減っているが、まだ30キロだか35キロある大土鍋入りの荷物はとにかくひとり移動には足かせ。わかってはいるが仕方ない。陶芸家はとにかく何をしても重いのだ。
今年も「旅する土鍋プロジェクト」をはじめ、会いたい友人を訪ねる旅に際しては、例年以上にたくさんの方々にお世話になっている。わたしは東京で、果たしてこのような愛にあふれたおもてなしが果たしてできるだろうか。仕事おわりの足で街を案内してくれたり、貴重な仕事の休日に、朝から最高においしいお茶を、そしてレストランでは味わえないような落ち着いた夕食とお酒でもてなすことができるだろうか。お客さまが眠るお布団さえ与えられるだろうか手狭な東京。
そんな慈愛とたましいの分かち合いをこの国では深く感じ、目をつむればつむるほど、ありがとう、グラッツィエ、サンキュー、言葉にこめられるたましいの量にはリミットがあることを知る。
実を寄せていただくみなさまと、そして、出発前、プロジェクトに際して応援の手をさしのべてくださった日本の友人にも深く感謝している。トップ写真の土鍋の下に敷いたふろしきは、i-craftのアヤコさんがオリジナルデザインでつくってくださったもの。⇒「旅する土鍋のためのふろしき」
そして、こちらは「旅する土鍋のためのPartⅡ」-たび袋-。
去年の -たい袋-(たい焼きイラスト)につづく第二弾。土鍋プロジェクトにご協力いただいたかたへの小さな小さな袋に込めた恩おくり。イラストレータさんMICANOさんが一枚一枚筆をとり、袋に直筆に描いてくださった作品。
以前、大土鍋のための木のスプーン(木のおしゃもじ)をつくってくださったアントネッロ&千穂さんのお宅には、スズメがアントネッロのおしゃもじを持っている絵を描き加えてくれている。なんとも、オリジナルでわたしも大感激だった。今年も彼らには大変お世話になっている。この小さな小さな恩おくりがイタリアのみなさまに、そして日本のみなさまに、その喜びと輝きをどうやって恩おくりしようか旅のあいだ、ずっとずっと考える。
恩をおくりおくられ、そうやって地球はまわるのだろう。MICANOさんの「土鍋プロジェクト」に関する作品はもう一点。また後日ご紹介させていただくことにして。
心からみなさまに感謝。