今朝は台風一過の秋晴れ。しかしながら自慢できる「日本の四季」が薄れてきたような気がします。ようやく春と秋の良さがわかってきたというのに、こう雨つづきでは秋が見えないし感じられない。
こんなにも、ろくろでひいた作品が乾きにくいことがかつてあったでしょうか。職業にも響くこの気候。陶芸には悩ましいけれど漆芸には適するのかもしれず一長一短であるものの。きっと農作物を育てているかたや、他にも多くのかたたちが異様な雨つづきに泣いているでしょう。つくり手にはみんなに見てもらいたいものがあるというのに。
楽しみにしていた展覧会marini*monteanyさんの”museum"へ。会場に入ると壁いっぱいに原画や版画やポスターが貼りつくされていて圧巻。(November.7まで)
現在かつてないタイトなスケジュール。夢にうなされるくらい間に合わないと日々焦り、かなり厳しい体制で自己の殻にひきこもり制作している現在のわたしに「がんばりすぎです」「少し休みなさい」は、仕事として果たすまではどうしても無理なのです。そんなとき、marini*monteanyさんの100点の壁の作品は「見てもらいたいたいからこそ、ぼくらもがんばっていますからね」「見てもらいたいものがあるからこそ、嘘はつきませんよ」という力強いメッセージをくれました。ぶるぶるするくらい励まされ、泣き出しそうになるくらい嬉しかった。それは確実に彼らの姿勢。絵本やオリジナル雑貨も大人気な彼らではあるけれど(そういう私もファンであるけれど)、壁の100点は「まずはわたしたちを見て」と言っていたのです。
「見てもらいたいもの」をブレずに懸命に提示する。クライアントやお客様が求めるものと少し違っていても、自分に後悔がないように私自身もそれに徹してきたので、ああこれで良かったんだとさらなる決意も生まれました。それと、ここのところ目にする展覧会で気になっていたことが一気に解消されました。グッズがメインワールドになってきて、本来の原画より華やかに人を集めているのを見ると、天邪鬼なのでしょう、どうしても遠のいてしまう…。
なにを見てもらいたいのか。
そして、わたしはなにを見たいのか。
台風一過の賢さを忘れたような唐突な晴れ空にちょっと苛立つのは、きっと、今年の秋はなにを見てもらいたいのか分からなさすぎるから。そんなに急な晴れ空で人を喜ばせなくてもいいのだからね。本来のやさしい日本の四季を戻してくださいな。
marini*monteanyさんとの出会いは、名古屋の保育園のシゴトにさかのぼります。
marini*monteany彼らが園内のあちこちに描く絵や園のマスコットオブジェ、そこに天井からぶらさがるモビールや壁の陶かざりのCocciorinonoアートワーク。「子どもに見せたいもの」という強い願いは、両者に強く共通する思いだったのでしょう。
(2012レイモンド保育園/コーディネータ:平井亙)