仮装はしかりハロウィーンイベントを楽しむことは残念ながらありませんが、ハロウィーンといえば、不思議な感覚を持ったアイルランドの旅を思い出さずにはいられません。アイルランド人の友人が車であちこちに連れて行ってくれましたが、ところどころで不思議な鳥肌が立ったり、ふと目の前や吹く風のなかに何かがいる錯覚、いや幻覚のようなものを覚えたのです。アイルランドの旅話はまた機会があれば。
その後、そんな私を納得させてくれたのが、これから紹介する映画と鑑賞会で拝聴したトークショーです。幸いにも監督からのリクエストでトークショーの音声を文字に起こして原稿を提供するという機会に恵まれました。
渡辺真也監督自身が、ユーラシア大陸に位置する13ヶ国(ドイツ - ポーランド - ウクライナ - グルジア - アゼルバイジャン - カザフスタン - ウズベキスタン - キルギス - ロシア - モンゴル - 中国 - 韓国 - 日本)を陸路で横断する様子を記録した映画です。⇒公式ホームページ
監督は、芸術家ヨーゼフ・ボイスとナム・ジュン・パイクの研究者でもあります。生涯にわたり「ユーラシア」と呼ばれるコラボレーションを行った2人を研究されていた監督は、ボイスとパイクに関係の深い土地をも巡ります。分断されたヨーロッパとアジアをひとつの大陸文化『ユーラシア』として統一しようと試みた芸術家たちの夢をなぞらえ、監督は旅をする。
仏教「十二縁起」の輪廻転生する魂(Soul)と、西洋の神話学者ジョーセフ・キャンベルが唱えた「英雄の旅」12章の旅(Odyssey)の概念に重ね合わせる形で、この映画も同じく12章から成っています。鍵となる「白鳥伝説」も見逃せません。英雄の旅は私たちの生涯となり、私たちの生涯は、終わりの無い転生の旅となると監督は唱えます。
モンゴルのウランバートルでシャーマンを通じて恩人である故マルケル監督との交信を試みる様子は、まさに本日のブログのタイトル「霊界とこの世とか交差する時」あり、忘れられないワンシーンです。
2017年01月に行った鶴岡真弓さんを招いてのトークを、僭越ながらわたくしが書き起こしたものがWEBページにアップされました。⇒http://www.shinyawatanabe.net/soulodyssey/ja/premiere-talk2.html#talk6
ケルト芸術文化研究家である鶴岡真弓さんは、ハロウィーン(サウィン/万霊節)は「生と死の間の壁が取り払われて死者が一年に一度蘇り、供養され、生と死が交流する日」という話をされています。そして「その混沌のエネルギーによって、それまでの365日の古い時間が反転し、新しいものに再生し、夜が明けて正月(11月1日)を迎える」と説明してくださっています。
今年の1月にこのトークを拝聴し、その後、音声を文字に起こしたのですが、そのときに今年のハロウィーンにはいつも以上に目をつむり混沌のエネルギーを感じようと思っていたのです。さて、そんな夜がやってきます。記念すべき日に、このすてきな映画をご紹介できて心がスーッとしました。今夜は霊界のみんなとこの世のわたしたちで「かぼちゃのスープ」を食べようと思います。
各地で上映会が行われているようですし、DVDの発売もされています。どうぞ機会がありましたら、ぜひご覧ください。