「第5回着想は眠らない展2017」テーマ:オト 終了いたしました。
「駄作ださくダサク!」と嘆いている作品でも、距離や時間を置くと「いまじゃつくれない」というようなレアという価値となる場合もある。経歴の魅力とは、自慢という靴や傲慢というコートを着飾るのではなく、作品をあらゆる角度から細部から全体像を見ることができる眼を養うことなのではないでしょうか。
15年ほど前から数年間、フラワーアーティストの友人のアイディアでつくりはじめた作品。当時はたくさんつくったので、ひびが入ったものなど、当時失敗だと思った作品もそのぶんいっぱいありました。箱に入れて保管してあったものもありましたが、その他は庭にコロコロ転がして放置したり。草刈り機にやられたり、土や雨に風化されて脆くなって崩れたり、いったい何個くらい放置したのか忘れてしまいました。
しかし、いま分かること。この磁土はいまや入手不可。このように美しい土が見つからないのです。ある意味、駄作であっても希少価値。そして、子どもが2才か3才だった頃、ばったばたで展覧会やオーダーをこなしつつ、このような遊び心ある作品は、子どもの目線でつくれたという当時の精魂入り。
A.箱の中で保管されていた作品 B.庭に放置されていた作品
駄作だと思ってしまいこんでいた作品をリバイバル(re-vival
再び生きる)させるのには、ちょっと不思議な勇気がいりました。探れば誰にもあると思うポケットの底の角にたまった小さな自尊心、権利、価値というゴミ。ポケットを裏返して、あれを人前で捨てるのですよ。自尊心なんかないと思ってた。でも知らない間に溜まったりするものなのですね。PCの不要データが知らぬ間に溜まってるあれに似てる。
15年を経たいま、再び生き返った作品たちは、蓼科の森に放つことで、文字通り生き生きしていました。これぞ、公募展の名前「着想は眠らない」が自分の腑に落ち、体内に満ち溢れた瞬間でした。そんな有意義な公募展を開催してくださるギャラリー忘我亭さま、そして作家を「チョイス」というハートで応援してくださっている作家応援者さまに深く感謝いたします。
もうおひとり。「作品は出し尽くすのではなく、つくり溜めること」と永遠の旅に出る前に「どうしてもひとこと伝えたくて」と電話をくだっさった女流作家さんへのオマージュ。
「着想は眠らない」関連過去記事
⇒「公募展に参加します」
⇒「着想は眠らない展」
⇒「着想は眠らない展2」
⇒「てるりんのこと」