イタリアから友人のご長女が日本の大学で学ぶために到着されました。生まれたときミラノで抱っこして僭越ながら命名の書をしたためたのがつい先日のことのようです。彼女は父のふるさとであるイタリアに愛され愛し、母のふるさとである日本を誇りに思い、そして愛してこられました。この先、彼女は日本とイタリアの両国に愛される人になるでしょう。
温故知新。到着を労い、ふるきを温め、新しい世界にはばたく未来の青春たちと、とても家庭的な夕食会を楽しみました。ボーダーを超えて活躍すること。それは一方的な愛でなく、相思相愛であること。旅人は一方的であることも多いですが、定住となると後者の愛も。
奇しくも、きょうは東日本大震災から7年目。あの日の恐怖と、被写界深度を深くしようとも調整がきかず、どんな未来になってしまうのだろうと不安にあふれた日。ひるがえって、わたしの中の道はきっぱりと一本に見えた日です。数日後には“陶芸家一本で生きてみよう”と。
今朝、青春たちは各自の目的のために我が家の玄関を出て行きました。わたしの被写体でなく、彼らの道なのです。
特別な晩餐はおそらくご家族や親友たちと済ませてきたでしょうから、我が家でのちいさなお祝いの夕食は、いつも食べるような家庭的なごはんにしました。春を蒔く(巻く)という意味をこめて、野菜たっぷりの「生春巻」を彼らに巻いてもらいました。もう一品は、我が家の大好物「大豆づくし鍋」。
歴史的には中国より伝来した大豆ですが、ヨーロッパに行くと誇りに思う日本食材は「大豆」です。痩せた小さな土地でも丈夫に育ち、様々な加工品に富む大豆。侍や農民が戦にいくときに、未開の山道を行きゆきて大豆を食べたとも。そんな願をかけて。
大豆のようにコロコロ愛嬌があって、柔軟性ある強さをもつ人になりますように。
1. 湯にすりおろし生姜、塩、(あれは桜えびまたは乾燥帆立)を入れる。
2. 白菜を入れ柔らかくなったら6つに切った豆腐を入れ、ひと煮立ち。
3. 白みそを①の出汁お玉2杯くらいで溶いて入れる。
4. 豆乳を①の出汁と同量くらい入れてひと煮立ちで完成。食べる前にお好みで針生姜を。
ちなみにもう一枚も、先週の小さな晩餐会。
学びのために遠方に発つ青春の親友とのささやかなお祝い夕食写真。みんなにすてきな春がきますように。