物議をかわした新国立競技場。採用された故ザハ・ハディド案がハイコストの問題で白紙となり、A案とよばれた隈研吾の案が採用されたことは周知の事実。前者の2500億円に対して契約金は1500億円といわれています。大量の国産木材を使用して隣接する神宮外苑との調和を意識して「杜のスタジアム」をコンセプトに掲げた作品。同時に、氏は渋谷駅の大開発や品川新駅など、現在進行中の大プロジェクトの模型展示などもありました。
氏の建築の賛否ではなく、わたし自身は、日々のものづくりにおいて、素材を強く意識していることから、この展示の「物質にかえる」という視点に興味を持ち足を運びました。建築作品の展示というと、たいがい専門性が高く理解に困難なものが多いなか、当展は模型をはじめ、映像や素材などの展示もあり、素人にも見やすいものになっていました。
主要なマテリアル(竹・木・紙・石・土など)ごとに分類展示してあると同時に、「積む」「粒子化」「包む」「編む」「支えあう」という系統を掛けて表している展示。建築といっても氏の作品は、構造物というよりも、“被せ”“包囲”“包含”あるいは、“建築の外延である系統”という印象を持ちました。
詳細・参考:建築雑誌「THE JAPAN ARCHITECT」spring2018
no..109
1914(大正3年)創建の東京ステーションギャラリーは、第二次世界大戦でドーム屋根と3階が焼けてしまう。2012年に修復を済ませ、当時の構造とレンガ素材を残しつつ、美しい姿で再登場した建物に入ることにも価値がありましょう。
上階から東京駅改札を見下ろせるというお土産つきがなにより嬉しい。