風はさわやかですが、夏の食事を欲する季節になりましたね。
春の山菜がまた来年ね!と姿を消すころ、枝豆にとうもろこし、早いものが店頭に並んでいます。
余談ですがイタリアでは、わたしの大好物であるとうもろこしと枝豆めったに食べないのです。とうもろこしの粉や粒の缶詰めは売っていますが、丸ごとガブリと食べるのは日本独特の夏の風物詩なんだなぁと。近ごろ大きなスーパーの野菜コーナーでとうもろこしを見かけ、料理上手な友人男子が芳ばしく醤油で網焼きしてくれたあの味は忘れまい!
夏も土鍋を使いましょうよ!と、風変わりでユニークな土鍋をつくりはじめて10年強。ざるやせいろを使って、野菜やハーブを添えたお肉を蒸してそのまま食卓へ。茹でたお蕎麦やお素麺をざるやせいろに上げ、下に氷を張ってひたひたに水を注げば夏仕様の土鍋に早変わり。トマトやきゅうりの下に氷を敷けばこれまた土鍋冷蔵庫。この夏も、どんどん夏の土鍋の使い方を紹介していきますね。
数年前までは「土鍋=冬の道具」というイメージを持っている方が多く、ギャラリーでも秋冬に土鍋特集を組むことがほとんどでした。
10年ほど前から作品として土鍋をつくってきたのは『一年中つかえる土鍋!』が欲しかったからです。そして、いわゆる冬の「つつき土鍋」だけでは土鍋は陽の目を浴びないだろうと考えはじめたのが6~7年前。土鍋炊飯は以前から普及していたので、一定数の土鍋ラバーたちは「ごはん炊き土鍋」にはこだわっていらっしゃいました。
夏でも土鍋を使ってもらえるような展覧会をギャラリーに組んでいただいたり。そんな地道な普及活動をこの5年のあいだに数回おこないました。「旅する土鍋」の計画を本格的に実践に移したのも、この時期に重なります。
さて、前回の“なぜに土鍋を持ってイタリアへ?”のふたつめの答えがここにあるのです。
「つつき土鍋」でも「ごはん炊き土鍋」でもない「土鍋」の使い方を紹介したい。そうすれば、もっともっとおもしろいデザインや色のユニークな一点物(=土鍋作品)がつくれる!と考えたのです。
丘の上(蓋の上)のイタリアの思い出がいっぱいつまった家々、その家からはイタリアの愛の湯気が出る。イタリアならば、キッチンにオブジェや絵など土鍋アートを飾るような感覚を理解してくれるかもしれない。そして、イタリアの友だち、イタリアのマンマだったら、どうやってCocciorinoの土鍋を使ってくれだろう?希望と夢を大きな大きな土鍋に入れて、海を渡ろうと考えたのでした。
「旅する土鍋2018夏」(つづく)
おしらせ(秋の予定)
イタリアより帰国後、秋の展覧会(銀座Ecru+HM)では
「せいろがぴったりなミニ土鍋」を展開予定です。
せいろも既に入手して制作案にとりかかっております。どうぞお楽しみに!