ZUPPA(ズッパ):パンや穀類を浸したスープ(具沢山なスープ)
トスカーナのリボリータ、ヴェネトのソパ コアダ、リグーリアのチュッピンなど、各州を代表するズッパが多数ある。(イタリア料理小辞典/吉川敏明 著/柴田書店)
Se non è zuppa è pan bagnato.
(スープでないなら浸したパン)
似たり寄ったりね
そんな意味のことわざがあるくらい
ズッパとパンの関係は密接なのです。
きょうは朝から梅雨らしい一日で、自分自身がZUPPAのパンのようにびしょびしょになりました。
スープ作家の有賀薫さんの「イタリア・ズッパ研究」にお供させていただき、我が家からほど近い「ズッペリア・オステリア・ピティリアーノ」というイタリア料理の食堂へ。
「ズッペリア」?聞いたことない単語だなと思ったらシェフの造語だそうで、シェフが修行したトスカーナ州ピティリアーノ村の郷土料理がいただけるお店でした。イタリア現地で食べるよりかなり上品な仕上がり。南トスカーナ、ウンブリアあたりの伝統料理が再現されているのが興味深い。常時いくつものズッパが並んでいるメニューは、日本ではなかなか珍しいのではないでしょうか。
有賀薫さんは「365日のめざましスープ(2016)」、「帰り遅いけどこんなスープならつくれそう(2018)」の著者。
我が家は、食卓にスープ、鍋物、汁物が並ぶことが高く、彼女の一冊目も二冊目も、もちろん手元にあります。
まずはふたりでズッパ談議をひとしきりして、時おりイタリアの地図など見ながら、イタリアや日本が誇る地産食材のことなどお話ししました。有賀さんがちょっぴり悩まれている未来のビジョンや、困っていることを変えていく「デザイン」について語り合いながら。
前菜は「リコッタチーズ」に、オタハイトレモンジャム」、ひとつまみの塩を添えて。冒頭のイラスト左の白ワインを飲みました。
フィレンツェの屋台で食べるタイプとはちょっと違う「スープ仕立てのランプレドット」が登場。続いて「アオリイカのソテー」が出てきて、もうその頃には梅雨など忘れていまして。
近いうちに、イタリアでズッパ研究しませんか?なんてお誘いしているうちに「ズッパ・ディ・ファッロ(3種の豆スープにスペルト小麦)」登場。こちらはウンブリア郷土料理とありましたが、豆のスープはイタリアのどの地域でもおいしい。
白インゲン(カンネッリーニ)、ウズラ豆(ボルロッティ)、金時豆(ロッシ)を合わせたポタージュに、大好物であるモチモチなファッロ(スペルト小麦)が入っていて。お金もないフィレンツェ修行時代(最初の修行場所)に食べた素朴な味を思い出しました。
次はウンブリア料理「チポッラータ(卵入りタマネギとトマトのスープ)」。
ここでワインは、イラスト右(フルボディ赤)に変更。先ほどの豆の甘みと、こちらのタマネギの甘みは似て非なり。2品続けてズッパを食べても飽きないですね。
お話はまだまだ続けたかったのですが、そろそろおひらき。もうドルチェは入らない。
近い将来、イタリアにスープ研究しに行きませんか?とお声をかけました。マルケのハーブ研究者のキッチンや、トスカーナやミラノの料理好き、カラブリアのマンマ、頭には色々な人が巡りました。未来のイタリアスープ研究を願って、エスプレッソ・ドッピオ(2倍!)を飲んで胃を沈めました。