土鍋の蓋をあけるとき、ゴロゴロンと蓋と本体がすりあう土の音が好き。あの音は、金属の調理器具にはない、ひとつめの『土鍋のごちそうサウンド』。
わが家は煮魚や焼き魚が大好きで、秋刀魚など食卓にあがったら手を合わせるように喜ばれる。頭も食べてしまうので、骨一本きれいに残るだけ。
もちろん焼いた秋刀魚にかぼすを絞るだけで充分なのだが、人数分の秋刀魚がないときに、ごはんと炊き込んだり、煮たりする。通常は玄米食だが、魚を炊きこむときは、魚の香りを引き立たせるために、白米(または麦飯や雑穀)にする。苦みある秋刀魚の内臓と骨から出る旨味が大好きなので、丸ごと炊きこむ。
分量の水にペロンと昆布と生姜を入れるほかは、出汁に味をつけない。そのかわり秋刀魚に塩をすりこみ30分ほど置き、焼いてから炊き込む。
土鍋に耳を近づけると、ふたつめの『土鍋ごちそうサウンド』が聴こえはじめる。ふつふつという米が炊ける音。最後に3分ほど強火にすると、みっつめの『土鍋ごちそうサウンド』が土鍋底から。ぱちぱちと小さな音を立てはじめたら、サッと火を消す。土鍋お余熱でおこげができるのだ。10~15分ほど蓋をして蒸らせば、ふっくら仕上がる。
とんでもぜいたくな秋がやってきた。
1.米を研ぎ、ひとさし指の第一関節(玄米は第一関節半)まで水を入れ、1時間ほど浸水させる。
2・土鍋の蓋をしめて、中火にかけてぐつぐつ沸騰したら極弱火にして20分(玄米の場合は40分)最後に強火3分。10~15分蒸らして完成。
※秋刀魚を一緒にたきこむ場合は、①に昆布と生姜と酒を入れ、塩をすりこんで両面焼いた秋刀魚を乗せて炊く。(写真:米のみ3合/秋刀魚ごはんは2.5合)
INFORMATION
お気軽にお越しくださいませ。
我妻珠美 展-秋を炊く-
2018年 11月16日~11月24日
⇒詳細
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル4F
Ecru+HM(エクリュ+エイチエム)
※かれこれ10年以上企画してくださっている老舗ギャラリー。