「食を楽しむ展」終了いたしました。
春に新しく改装を終えた新宿高島屋10階リビングフロアー。
全日を通して活発なお客様の流れがあり、賑やかなフロアーのなかで7日間の展示即売会ができたことを大変うれしく思います。ありがたいことに途切れることのない接客をする身として「空間の心地よさ」というものは絶対的なものですし、わざわざ足を運んでくださったお客様にも大きな影響を与えるものだと感じています。
百貨店をはじめ、どのギャラリーにおいても、足をお運びいただいた時間、お財布を開いていただくご好意、それらにお礼の気持ちとして唯一お返しできるのは「きてよかった」と思ってもらうこと。
幸いにも、コッチョリーノの展覧会は、百貨店やギャラリー(オーナー/オーガナイザー/コーディネータ)が企画を組んでくださっていますが、作家も創作するだけの時代ではありません。先述したとおり、お客様が「きてよかった」(もしくは「買ってよかった」)という「見えないお土産」を渡したいのです。それはお礼の品ではありません。その場では見えない、もしかしたら後になってわかるものかもしれません。残り香のようなふんわりした、なにかです。
冒頭の写真は、50人ほどのイタリアのみなさまに「旅する土鍋」を説明しているところ。この活動もいつかみなさまに還元できますように!
コッチョリーノ「旅する土鍋」のコンセプトは「広場」です。
百貨店もギャラリーも、初日はオープン前から待ってくださっていることをうかがい恐縮しています。お仕事を休んでいただり、半休をとったり、介護なさっているご家族や小さなお子さまとの時間を工面したり、ご一緒にいらっしゃれなかったご家族とは電話で作品選びしてくださったり、お友達やご親戚おさそい合わせていらしたり、つづり切れないほどご都合をつけてくださっていることに「見えないお土産」はいくつあっても足りません。
タイトな制作日程でしたが、ふたを開けると200ほどの作品を並べることができました。日に日に作品が少なくなっても「どうしても何かつれて帰りたい」、ポツリひとつ待つ作品を「ご縁だ」と言ってくださったり。閉幕ギリギリまで、人が集まり、会話があり、物語が生まれました。かさなる接客を寛大にお待ちいただき、お知り合いでないお客様同士でアドバイスしあったり、お話しくださったり。これはわたしの望むところの、土鍋やうつわを囲んでの「広場」の自然派生です。
うれしいのは、展の閉幕後も、ツイッターやインスタグラムで「土鍋でごはん炊きました」「土鍋でこんな料理つくりました」「ココットやコップつかいました」などなど教えてくださり、料理が好きな人も、あまり好きでない人も(日々お忙しくて時間と気力がない人も)「つくる気になる!」という言葉は本当にうれしいです。そしてその記事をみんなが「いいね」「おいしそう」などと仲良く盛り上がっているのを見ると、ああ自然派生の「広場」だなあと思います。
そして、最後にもうひとつ、とってもうれしかったこと。
本当につづけるべきなんだろうか、どなたかに届いているんだろうかと分からないことだらけで何年もつづけてきたブログ。「いいね」やコメントの有無でなく、ものすごく読者が多かったことを知りました。その他SNSの記事も同様です。静かに読んでくださっている人が多かったことです。このページにきて読んでくださっている皆様へ、いつも一方的ですみませんでした。しかしながら、これからは、みなさんのお顔が浮かぶようになりました。
またお会いできる日を楽しみに、制作、プロジェクトに励みます。
みなさまへの「見えないお土産」が、時間がかかっても届きますように。
コッチョリーノ 我妻珠美