おまたせいたしました。
延期となっていた個展の新しいお知らせです。
基本的に毎日在廊しております。おこころづかいなく、お気軽に。
いつもブログやSNSで目にする作品を、目や手で鑑賞する気持ちでいらしてください。
「はるの いのち」我妻珠美 陶展
2020年 2月8日(土)〜 16日(日)
11:00〜19:00
*月曜定休(11日祝日は営業)
CROCO ART FACTORY
横浜市中区元町 1-71 メゾン元町2F
045-664-4078
2000年の7月、台風一過の夏の日、現在の窯がやってきました。
1歳に満たない息子を抱っこしながら、大々的な窯の搬入を眺めていたあの夏を思い出します。工房コッチョリーノは、実はマンションの地下にある小さな部屋に、こっそりと佇んでいます。1.5トン以上ある窯を隣接地からクレーン車で吊っておろし、さらに庭に鉄パイプの足場を組んで階段をおろす光景。
東京に独立窯を導入する前年まで、90年代は日伊を往復しながら修行生活を送っていました。ようやく東京での制作を決心をしたのは良いけれど、あの窯搬入の光景を見ながら、ワクワクどころか「たいへんなことになったな」と、ジリジリと暑い日なのに、客観的に冷めていた感情を、こころの温度感として覚えています。
予定していた個展を延期して、年末、故障した窯の心臓部分である電気系統を新調しました。
インテリアデザイン性など一切ない無骨な配線ボックスですが、ふたを開けると「おおお!」と、うなるほど立派で色鮮やかな電気コードが複雑に配線されています。まるで血管のようで、まさに窯の心臓であることを確信。少し専門的な話を添えると、コッチョリーノの窯は三相200Vといって、家庭用電源とは別のルート(道路の電信柱)から動力を供給しています。サイズはそれほどではありませんが、たいへんパワフルな窯なのです。
年末年始を返上して試運転をはじめましたが、こころと窯の温度を調整するのは、思ったよりたいへんで、正直なことを書けば、泣きました。ですから、理想の色、形に焼きあがった作品は、20年ぶりに初心に戻ったような新鮮さと、「はるのいのち」がめばえたような感動がありました。
2020年、工房コッチョリーノ20周年、そして窯は20歳。いまできる限りを、作品に残したいと思います。 20年という人間でいう成人になったコッチョリーノをよろしくお願いいたします。
コッチョリーノ(地球のかけら)
我妻珠美