自分の職業である陶芸について、ただただ土と形のことばかり考えていても、つまり自己防衛ばかりでは、文化の向上はなく経済も回らないでしょう。
文化を質よく元気にするためには、食、産物、工芸など、互いに応援エールが交わせてこそだと思っています。うつわの制作でてんてこまいになり、その余裕がなくなる期間ももちろんあります。しかしながら、どこかのタイミングで、自分の陶芸道から脇道にそれ、それぞれの文化にあいさつをしに行くと、刺激的なチカラをもらうことができます。
今年はあきらめかけていた「旅する土鍋」。
安全第一のなかで、日本のおいしい宝を探しに、西に向かおうと思っています。
静かに、強い意志を持って。
さて話は、イタリア大使館とイタリア文化会館主催のイベント「イタリア料理週間2020」。
EPAの施行(外務省HP参照)は、欧州をはじめイタリア食材(農産物の輸入)に頼もしさを与えてくれた一方で、日本の農産物への応援も忘れてはいけないと、より強く思うようになりました。良好なバランスをうまく取りながら、互いの「文化」を応援していきたいと思っています。
自身の中では「日本の農作物」と「イタリア文化」を応援する週間という気持ちです。昨年は「ペッレグリーノ・アルトゥージに捧げる一日」イベントに参加し、カーザ・アルトゥージから来日したシェフのパスタづくりや、アルトゥージ著 La scienza in cucina e l'arte di mangiar bene(イタリア料理大全)の邦訳出版講演会に参加しました。
あいにく今年はおいしい試食などできませんが、カルミネ・アバーテ著 Banchetto di nozze e altri sapori
(邦題:海と山のオムレツ)の講演会に参加します。古くから毎年世話になっているイタリア人家族がいるカラブリアの話です。会いたくなってしまい生唾どころか目には涙が浮かんでしまう...。
さて先日は、イタリアンレストラン Domenica D'oroドメニカ・ドーロのコース料理と 成龍酒造(伊予賀儀屋/御代栄醸造元 公認の日本酒コラボイベントに参加しました。
岩本光史シェフの故郷である愛媛県西条市の食材や、瀬戸内の魚をふんだんに使ったメニュ、西条市のおいしい天然弱軟水でつくった加儀屋の日本酒。愛媛と東京を頻繁に往復していらっしゃった醸造元の首藤氏は、今年の移動自粛以来、初の上京だそうで、溢れ出るパッションで説明くださいました。
わたしの中の、日本を大切に想う深い心を再確認すると同時に、イタリアへの想いをあらためて抱き寄せる大切な時間となりました。そして同じくイタリアを想う友と、日本酒に通暁する友人と、楽しくおしゃべりしながら、いろいろと考える夜になりました。
写真は選びきれなかった写真の中から。
トレンティーノ・アルト・アディジェ州で修行したシェフ特製「北イタリア風 自家製ハム(八ヶ岳の工房仕込み)」と「瀬戸内産のサワラの酢締め炙りカルパッチョ」とシェフの故郷「西条産カブのマリネ」、秋のドメニカ・ドーロのドルチェといえば「みりんのソースの特製モンブラン」。そして加儀屋のオススメ4種の日本酒。
ただでさえ予約でいっぱいなレストランなのに、感染症対策のため、座席数を大幅に減らして営業なさっています。秋も冬も大好きなエリア外苑前駅からほど近いレストランです。
臭くて個性あるチーズが大好きな我が家ですが、さっぱりフレッシュなチーズでお気に入りを見つけました。脂肪分ゼロのフロマージュブラン。ヨーグルトのような酸味あるフレッシュチーズ。
「蒸し野菜のサラダ」にかけて、塩とオリーブオイルを少し。「野菜とチキンのトマトスープ」の上に添えて。リンゴジャムと一緒に「パン」につけたり、いろいろな食べ方をしています。