5月になると庭に顔を出すドクダミを数回に分けて収穫し、乾燥させて茶葉にします。
初旬は、柔らかい緑色をした初物を少し摘む。その後、花をつけ始め、成長する彼らを中旬まで待ちます。下旬、他の雑草に勝ち誇った彼らは、葉の緑色も濃くなりドクダミ独特の香りを強く放ち始める頃、このあたりで最終の収穫とし、梅雨に入る前に乾燥させてしまいます。湿気が残っていると、カビが生えたりして一年のあいだ保管できないので、しっかり乾かすのがコツです。外で干したあとは、職業柄、窯をたく工房にぶら下げてパリパリに乾燥させるのです。
※ちなみに下の写真は一年保存した茶葉。まだきれいな緑色で香りも豊かに残っています。
乾燥したら、茎、根、葉(花つき)に分けておき、お出しする相手や、自分の体調や好みによってブレンドし、直火にかけられるコッチョリーノのポットで煮出します。
友のお墓参りに友人らとわいわい行くのですが、庭のドクダミ茶を持っていくのが自分の中で決めごとになっています。お花の係り、お菓子の係り、そしてお茶の係りというものがなんとなく決まって、志ある行事になり、もう十数年が過ぎました。
思えば、なぜドクダミ茶なのか。
もう会えないけれど遠くにいる親友に、わたしらしさを伝えたいと思ったのが始まりで。そして諸々を「矯める」という意味を持たせたかったような、うっすらとそんな記憶が。個性が強い雑草ですが、煮出して飲むと口の中がすっきりします。
ドクダミとは、「毒を矯める(どくをためる/悪いものをよくする)」という意味から、そう呼ばれるようになったようで、決して毒がある雑草ではありません。
乾燥させた生薬は「十薬」と呼ばれるほど効能があり、わたしの実感するところでは、むくみ改善、疲労回復、肌の改善、口の中がさっぱりするという気持ちの良いことばかりです。完成したら今年の化粧水もご紹介しますね。
※多少の副作用もあるそうなので、腎機能が弱い方、妊娠中のかたは、ご注意ください。
「やかん」の起源は「薬缶」であり、鎌倉時代から漢方薬を煮出す「やかん」には、土瓶が使われていたそうです。鉄や銅など金属は薬草や漢方成分(タンニン)と化学反応を起こすため、土が最適だとされてきました。コッチョリーノの「ポトル」は直火にかけられます。
火をつけたままだと吹きこぼれたり、水分が蒸発してしまうけれど、沸騰しそうなところで火を消して余熱でゆっくり蒸らすと、香り高い薬草茶がに出せるように思っています。