電子レンジが壊れて2ヶ月くらい経つだろうか。
すっかり「ない」に慣れてしまいました。慣れたというより「代替」の思考がよく働くというか。とにかく発想がわいてきて、そうなると土鍋の存在が本当にありがたいのです。
わたしたちは本当に忙しすぎる。
子どもを育てて仕事して、実に時間がなかったことを思い出します。子どもが育ったら育ったで、もっと仕事をします。生きるのに大変お金がかかる世界に住んでいるからかもしれない。
「便利」は、どんどん求めてしまうもので、行き着く先は「なにもしない」ということ? 「便利」を「情緒」に置き換えらればこれ以上のことはないけれど、毎日そんな余裕があるわけでもない。けれども、はたらく土鍋を見つめていると、「まあ、ゆっくり」「このくらいでしかたない」と、いい意味でレベルを下げて、余裕を生み出すことができるなって思うのですよ。
こっちの方がイイ、それはダメとか、先を越す、追い越されたという、時間の速まわし的なものが、どんどん情緒をなくしてゆくのではないかな。
土鍋は温まるのが遅いです。それが魅力です。人生の中で大きく見れば大したロスでもない。土鍋を見つめている時間はその代わりに情緒をくれると思うのです。子どもは空腹に泣くかもしれないけれど、時間の価値を教えないと、先の未来が不安だなぁって思う。発酵が見直されているのも、時間をかけて生きているものが愛おしいと気づくからではないかな。わたしは、即席ラーメンだって、インスタントスープだって便利だからいただく。欠けた情緒を、時間をちょっと戻すように、土鍋やうつわで補うのも悪くない。
さて、壊れたものはオーブンレンジだったので、オーブンがないのはさびしい。どうするかな。
最後に、電子レンジなしでも、冷凍ごはんをおいしく食べる案。以前は、余ったごはんや冷凍ごはんを一度解凍してドリアをつくっていたのですが、今回は冷凍ごはんをそのままシチューに入れます。そんな日のために、小分けに冷凍すると便利です。
①残ったシチューに冷凍ごはん入れて閉蓋して温める。
②ぷくぷくしたら焦げるサイン。底からかき混ぜて数分。
③火を消して閉蓋20分くらい放置。
④再び温めなおし、コンソメ1/4カケ(または塩)、仕上げに胡椒、最後にチーズで閉蓋。
▶︎イタリアに「旅する土鍋」巡業するときは、電子レンジや道具に頼る料理はできません。どこの家庭にもそれがあるとは限らないからです。▶︎今夜は父の命日ですが、特別なことはしません。故人はお寿司が好きでした。とても忙しい日でしたから、買ってきたお寿司を食べるでしょう。情緒はうつわで補う予定です。